インプラントを長持ちさせるための注意点
インプラントは人工物なので「虫歯にならないし、一生持つ」と誤解されていることがあります。
確かに、インプラントは虫歯になることはありません。でも、骨の中に埋まって体の一部になっていることから、細菌感染により歯周病のような状態を起こし、骨が溶けてインプラントが抜け落ちてしまうことがあります。このようなことにならないよう、インプラントを長持ちさせるための注意点をまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください。
インプラントを失う1番の原因
「インプラント周囲炎」
インプラント周囲炎の原因菌は歯周病と同じ
インプラントを失うほとんどの原因は、インプラント周囲炎です。これは天然歯で言うところの歯周病に該当するもので、直接の原因は歯周病と同じ歯周病菌です。
「インプラントの寿命はどのくらいですか?」「一生持ちますか?」というご質問をよく受けますが、誤解を恐れずに申し上げれば、インプラントを一生使えるという保証は誰にもできません。
インプラントを長持ちさせられるかどうかはケア次第
インプラントを一生使えるかどうかを保証できないのは、ご自分の歯が一生持たせられるかどうかを保証できないのと同じことです。つまり、ご自分の歯のお手入れをしっかりと行い、歯周病対策をしていれば、一生持たせることも可能ですが、お手入れが悪ければ早く失ってしまう可能性もあるということです。これはインプラントにも全く同じことが言えます。
ただ、現在出されている統計によると、10年前にインプラント治療を受けた方のインプラント残存率(お口の中に残っている確率)は、90%以上という結果が出ているため、良い経過を保ちやすい治療法であるということは言えるのではないでしょうか。
インプラントは天然歯よりも入念なケアが必要
インプラントは、天然歯と同じようにあごの骨に埋まっています。そう聞くと、「天然歯の代わり」だと思ってしまう方もいるかもしれません。でも実は、両者には周囲の組織とのくっつき方などに違いがあり、インプラントの方が構造的に弱いため、天然歯よりも念入りなケアが必要になってくるのです。
インプラントが天然歯と比べて違う点
炎症が奥に進みやすい
インプラントは、歯肉との結合が弱いため、歯肉炎を起こすとその炎症がみるみる奥に進みやすい傾向があります。
感染に対して弱い
インプラントには、天然歯が骨との間に備えている「歯根膜」がなく、その分血流が少なくなるため、免疫が天然歯に比べて働きにくくなります。その結果、天然歯に比べ、細菌感染に対して弱くなります。
噛み合わせのダメージに弱い
天然歯は骨との間に歯根膜というクッションを持っており、強い力がかかっても緩和できますが、インプラントは直接骨に結合しているため、強い力がかかると骨にダメージを与えてしまいます。
インプラントを長持ちさせるための注意点
毎日のケアを丁寧に行う
インプラント周囲の歯茎に炎症を起こさないよう、インプラント周囲の汚れを毎日しっかりと落としましょう。
歯科医院で定期的にメインテナンスを受ける
定期的に歯科でクリーニングのケアを受けましょう。また、同時に検診を受け、異常があれば早めに治療を受けることでダメージを最小限にとどめることができます。また、噛み合わせも変化することがあるので、定期的にチェックを受け、必要に応じて調整を受けましょう。
体調管理に気をつける
タバコや飲酒は、お口の健康に影響を与えやすいので、控えめを心がけましょう。また、糖尿病は歯周病にかかりやすくなるため、体調管理に気をつけることも大切です。